牡丹を咥える狛犬

「邇波の狛犬」 邇波里booklet.004製作中

予定では4月17日から始まる「木之下城伝承館・堀部邸 春の企画展 狛犬II」邇波の狛犬群像に間に合うように編集中です。その中で、特にこだわったのが「牡丹を咥える狛犬」です。牡丹に唐獅子の物語。獅子身中の虫。ですね。狛犬調査隊によって尾張には11匹生息することが判明した。まだどこかに隠れ潜んでいるかもしれない・・・・・。

この特徴的な「牡丹を咥える狛犬」

製作者は、大正期を中心として邇波・尾張で活躍した「荒木弥助」と名のる石工である。

11体の内10体が弥助作品。製作年代は大正6年から12年の間。調査隊では最も古いものが大正6年(1)次に大正7年(2)・大正8年(3)・大正9年(1)・大正10年(2)・大正11年と12年が一体づつ。大正7・8年に集中するようだ・・。この内、大正9年だけがもう一人の石工、角田六三郎と刻む人物である。弥助と六三郎はまさに明治末から大正期にかけて尾張狛犬様式を作り上げた代表的な石工といえよう。二人はご近所さん、おそらく弥助の作品に合わせて一体だけ作り上げたのだろう。彼らは互いに作風を共有しながら様式的に同一化していく。六三郎は作風は基本的に乱れないが、弥助は劇的に変化していく。特に大正4年以降、その作風は見事に美しくかつ躍動感のある狛犬を次々に生み出した。そのきっかけになったのが江戸狛犬を写しとった山那神社に残る大正4年の狛犬だろう。

さて、狛犬調査隊によると、、弥助作品は昭和15年で終焉を迎えるようだ。

砂岩製であり、いかにも危なっかしい状態の狛犬がいる。今がギリギリ。特徴的な「牡丹を咥える狛犬」11体を一括文化遺産としてぜひ保存対象として街の大切な歴史文化財となるようにしていただきたい。我々もそのように動きたい・・。がんばれ邇波の大正狛犬たち・・・。