技法について

S字甕の補充技法

台部と体部の接合部にだけ、特徴的な砂礫混じりの粘土を付加する。これを補充技法と呼んでいる。
台部と体部の接合には指頭圧痕により粘土紐積上による設置面と設置箇所が確保されるが、その凹みに粘土を補充する。その粘土には、胎土に使用した粘土そのものではなく、さらに砂礫を混ぜた特別な粘土を使用している。一見して砂礫の多さがわかる。
S字甕の胎土には、雲出川の砂礫を混和材として使用するが、時にこの補充粘土だけ「尾張低地部」の混和材が見られる場合が、分析によって指摘されている。
製作地を表示するモノ,まさに指紋のように・・。
砂礫が多く、とても機能的な使用とは考えられないが、はたして補充技法の新の意味とは????
因に、補充技法はS字甕ゼロ類(雲出型)からS字甕D類まで基本的には継続して施される。S字甕誕生から約200年以上にわたって続けられたこの不可解な技法とはいったいなんだったのか。
*ここを分析すればS字甕の製作地がわかる。
suji-soko.jpg

S字ハケ

S字甕は,小さなカケラになっても他の器ではなく「S字甕」のパーツであると容易に区別できる。
それは,「軽量薄甕」という重さを感じさせないくらい軽い,つまり卵の殻のように器壁が異常に薄い,
さらに,外面には特徴的なカキ削るような鋭い「ハケ」の痕跡が見られるからである。

台部の折返し

S字甕は台付甕の仲間である。その台部には内面を見ると,端部に折返した跡が明瞭に存在する。
その折返しはS字甕B類段階になって顕在化する。その後この技法はC類・D類,そして宇田型甕にまで受け継がれる事になる。

sji-a41.jpg

折返しが見られないS字甕A類の台部内面