文化の共鳴現象

共鳴現象

辞典によれば「共鳴」とは,何らかの振動体が大きく振動し共振していく現象であり,またその現象の正体が固定的に捉えられるのではなく,むしろ複数の結合構造の混成体である事になる。またその現象に伴う人やモノの動き・行動やモノの考え方などの思想などに強く,かつ深く同感し,心が動かされていく事も重要な要素といえよう。東海系トレースにより拡散する「東海系文化」なるものに,このような「共鳴」性が隠れている点はすでに指摘したことがある。また個別の土器やそのカタチにほとんど直接的な出会いが見られないほどの遠隔地でさえ,何故か同様の変化・志向性が,突如生まれる事がある。こうした共鳴現象が勃発する時期を時代の画期と捉え直して,「古墳時代早期」という時代を再検討する必要性を考えてきた。
結論から言えば,東日本における3世紀前半期の地域社会は,東海系文化に起因した共鳴現象によって,それまでの弥生社会的な地域構造が大きく崩れ,次なる次元の社会構造や体制を独自の枠内において模索しはじめ,造りはじめたと考えたい。したがって人・モノの流れは直接的か間接的かは,一義的にはほとんど問題ではない。振動する現象が重要であり,その時代性に強く流されていく場面こそがとても面白い視点だと考える。近畿地域あるいは東海地域からの人・モノによる直接的な実行支配といった政治性を夢見る考え方には賛同できない。またこの時期「倭王権」というキーワードは,直接的な動きとしてほとんど無縁な存在と思っている。その後の4世紀段階でさえ,各地域社会は多様性豊かであり,こそに絶対的ともいえるような普遍性があるとは考えられない。列島を呪縛する規律は何処に存在しているのか不思議でしょうがない。この段階の古墳のカタチは,まさにその墳丘テクスチャーや造営法などを見てもわかるように,一般的に言われるような政治的な関係を示唆するほどの資料・素材群として整備されているとは,とても思えないのである。(「3・4世紀,東北南部と東海系文化」『邪馬台国時代のみちのくと大和』2015より)

それにしてもスティーブ・ジョブズ史上最高とも言われている2007年のプレゼンテーション,何度観ても実に素晴らしい。ハマるな〜。